「恋愛と結婚は違うのか?」と、悩む人に贈る問題作!

#3 消滅世界 (村田沙耶香)








「恋愛」と「結婚」は、違うものなのだろうか?

それは、未婚ならではの疑問かもしれない。




小説「消滅世界」では、恋愛と結婚は完全に別物として存在している。

夫婦は恋愛をしないもので、完全な「家族」。

男女ともに思春期になると避妊具を装着し、妊娠は人工授精で行う。

恋愛の対象は、アニメなどの「キャラクター」、または、人間である。

だけど、人間との恋愛でも、基本的にセックスはしない。



家族として信頼できる相手と結婚して、子供を産み、育てる。

結婚をしても恋愛は自由で、それぞれに恋人がいることが普通な世界。


だけど、恋愛の苦しさは変わらず、主人公の雨音と夫は「駆け落ち」をする。

「家族」も「恋愛」もない世界では、平和に暮らせるのだろうか……?


その後のふたりの行く先は、物語で確認してもらうとして。


この物語を読み進めるうちに、こんがらがった思考の糸がほどけていった。


独身男女の理想が高くなるのは、最後の恋人を求めているからなのだ。

恋愛と結婚は同じであってほしい。

だからこそ、結婚相手には最高の異性であることを望んでいる。

そして、「相手にとって最高の異性にならなければ」というプレッシャーも感じる。


これは、わたしが「消滅世界」を読んで知った自分の結婚観であるが、同じように考える人も多いんじゃないかと思う。


この物語はわたしたちに問いかけてくる。

恋愛とは? 家族とは? 夫婦とは? セックスとは? 出産とは?


まだ結婚もしていないのに、結婚後の心配をするなんて杞憂だろうか。

そのせいで勇気が出なくて、行動を起こせないのは滑稽だろうか。

そうかもしれない。

だけど、そこに自分が大事にしている価値観があるはずだ。


価値観は変わるものではあるけれど、異性と価値観について話すことはムダじゃない。

恋愛対象ではなかった人と気が合って、結婚することもあるかもしれないし。



***あらすじ***

夫婦は恋愛をせず、子供は人工授精で授かるのが当たり前の世界。
ところが、主人公の雨音は両親が「愛し合ってできた」レアな子供だった。
夫婦としての生活は穏やかだけど、恋愛をするのは苦しい。
そんな夫とともに、雨音は「家族というシステム」の先にある世界へ駆け落ちする。

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はじめに
#1 この人と結婚するかも
#2 スパルタ婚活塾
#3 消滅世界
#4 私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな
#5 夏休み
#6 怒り
結婚がわかる100冊リスト

美濃部由紀(Yuki Minobe)



心理カウンセラー

心理学を婚活に活用したワークブック「ココロの婚活ノート」を共同で製作。
自身も婚活をしながら婚活女子のための心理学講座「秘密の女子会」を開催している。

心理カウンセラーの活動とWebコンテンツのライターを生業にしているため、あまり家から出ないのが目下の悩み。

「わたしのことが子ねこに見える人と結婚したい」と、わりと本気で言っている。



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